「『地方国立大学』の時代 2020年に何が起こるのか」(木村 誠 著、中公新書ラクレ)で、アンブレラ方式による大学の再編と地方創生の関係が取り上げれています。
その中で、静岡大学の分離・統合再編計画が紹介されています。
アンブレラ方式(1法人複数大学方式)とは
国立大学を幾つか統合していわゆる持株会社のような理事会を置いて大学を運営する方法(第105回 大学分科会・ 第16回 大学教育部会合同会議 議事録より)
この本の中で、個々の大学による大学改革への取り組みが国にどのように評価されているのかを知る指標として、「2018年国立大学改革強化推進補助金」の採択結果と所見が挙げられています。
「2018年国立大学改革強化推進補助金」の記事 はこちらです。
https://shizudai-saihen.lsv.jp/post-178/
著者は、自分の印象として、「アンブレラ方式のように『国策』に沿った改革を進める大学や指定国立大学法人などが高い評価になっているように感じられる」としながらも、アンブレラ方式による改革案で応募した静岡大学と浜松医科大学が同補助金を不採択になったことを指摘しています。
不採択に対する所見のうち「静岡地区の統合メリットが明らかでない」とされたことに対して、著者は、「確かに静岡地区キャンパスの教員から反対が強いこと」を述べたうえで、静岡市立大学(構想)との連携プランを打ち出し「静岡キャンパス教員の教育研究シーズを活かすことを考えるべきだと思う」との意見を述べています。
また、名古屋大学と岐阜大学によるアンブレラ方式である「東海国立大学機構」に参画していない名古屋工業大学と三重大学のコメントとして、「これからも強みを活かし特色ある工科系単科大学として独立した経営・運営を行う」(名古屋工業大学)、「地域創生が大学の使命と考えている」(三重大学)を紹介しています。
この本を読んで、地方創生のためにはアンブレラ方式一択という訳ではないことを学びました。