異見公論62で塩崎恭久 自民党行政改革推進本部長が 「国民益にかなう国立大学への脱皮」を提言したことに対し、 島田真路 山梨大学学長が同大学の公式サイトに反論を掲載したことについてのインタビュー記事です。
https://kyoiku.yomiuri.co.jp/rensai/contents/63.php
(リンクはいずれも2019年9月10日現在のものです)
塩崎恭久 自民党行政改革推進本部長の見解(異見公論62から抜粋)
https://kyoiku.yomiuri.co.jp/rensai/contents/62ana.php
「新しい価値を生み出す人間を育て、最先端の新しい価値を生み出す力は、国立大学にある。2004年に法人化という新しい形態を作り、非公務員型で取り組んだが、現状では、大きな花が咲きそうな雰囲気がない。だから、改革だ。」
「例えば、経営と教学の分離。経営のプロが経営をすべきだ。」
「学長選考会議の学外委員を、半数ではなくて3分の2にすべきという意見があるが、賛成だ。」
「 国立大学関係者に聞くと、[国立大学法人化により]単に文科省支配が強くなっただけのようだ。ただ一方で、大学人も脱皮できていないと感じる。相変わらず学長選挙で意向投票(構成員による予備選挙)をしているなんて、その最たるものだ。意向投票は禁止したほうがいい。」
これに対して 島田真路 山梨大学学長 は、
学長選挙は必要
「 [学長]選考会議のメンバーは学長が選ぶ。従って、学長の意見しか反映しない。権力を集中しすぎると、独裁者が生まれる恐れがある。独裁者を作らないためには、意向投票が必要だ。」
文科省による矛盾の多い規制
「6年間の中期目標・計画をうたいながら、実質的には単年度で予算が配分され、評価されることだ。何のための中期目標・計画なのか。国立大学法人評価委員会といっても、評価ができる人がどこにいるのだ。大学改革に関する審議会や会議もそう。国立大学なんて要らないという人ばかりが、大半を占めているではないか。」
法人化は制度改悪だった
「文科省の出した改革とは何だ。大学院の重点化とは、何を狙っていたのだ。実際に起こったことは格差の拡大だ。それでも、東大だけでもGAFA(Google、Amazon、Facebook、Appleの4大企業)級のイノベーションを起こしていたら黙っていた。だが現実には、東大も京大も世界ランキングで低迷している。 国立大学は溺れて、あっぷあっぷしている。それを叩いているのが国、中でも財務省だ。文科省は財務省の言いなりだ。」
「国立大学には、それでも日本では一番、研究のポテンシャルがある。国立大学を活性化するしかない。その唯一の頼みの綱の国立大学の手足を縛り、叩くだけ叩いて、兵糧攻めにし、あとは自分でやれ、とは。国立大学は、瀕死の状態だ。
山梨大学は、2002年に山梨医科大学と統合し、 山梨県立大学との連携計画を2019年度の国立大学改革強化推進補助金に申請しています。浜松医科大学との再編に向けて大学を分離するという計画を打ち出した静岡大学の2周先を山梨大学は走っていると思っていました。この記事を読んで、文科省や政治家に対して明確に意見を述べるという学長のリーダーシップの一つの在り方を学びました。